東京

来る水素社会について考える

【2037字 目安:5分】 以前から書店で見かけては気になっていたpen+をようやく購入した。 Pen+(ペン・プラス) 大いなる可能性を秘めた 下水道のミライ (メディアハウスムック) 出版社/メーカー: CCCメディアハウス 発売日: 2015/03/24 メディア: ムック この…

日本語で出会えるもの、英語で出会えるもの

【2424字 目安:5分】 「世論」というのを、「それは社会における情報処理の一形態である」というふうに考えるとどうだろうと思って、ネットで検索しても、日本語では「これは!」と思うものに出会えない。 しかし「social information processing」で検索す…

電車の中のセル・オートマトン

【432字 目安:1分】 電車の中で、音出してスマホのゲームしてるヤンキーみたいな格好した若いあんちゃんがいて、シャンシャンシャンシャン音がうるさいから直接言おうかと思ったけど、今日はできなかった。 彼は他の人に言われることもなく、したがって自分…

集団が情報を処理するしくみ

【3797字 目安:8分】 ①民主主義(democracy) …政治システム。構成員による「話し合い」で解決できるものが問題の中心で、専門的な問題、解決に高度な知識や技術を必要とする問題*1には、専門家の関与が不可欠。決議を構成員全員が行うタイプ(直接民主制*2…

様々なる情報処理

【1462字 目安:2分】 名前からして当然といえば当然なのかもしれないが、情報処理の効率性についての研究が一番進んでいるのはやっぱり情報科学の分野だろう。 情報処理に使う「要素」の数の多さに対する効率性という点で。 この分野の技術進歩は著しく、今…

両極端に走りがちな世論

【1745字 目安:3分】 ISIS=イスラム教徒=悪者 という謎の方程式がでっちあげられている印象を受ける。 そしてメディアではその反動として、「イスラム教徒は危ない人達ではない」と主張する記事も増えている。直近で見たものだと例えばこれ。 <a href=…

新聞とテレビについて

メディアの偏向報道が取りざたされることが増えた。いつからか。安倍政権になってからか?安倍政権はイカれてるのだろうか?私としては正直そんなことはどうでもいい。というより、そういう捉え方で実りある議論が成り立つとは思えず、あくまで自分が解決に…

しるしのつながり

私はよく誤解をする。「〜は〜だからではないか?」「〜と言ったあの人の意図は〜ということなのではないか?」「〜というこの状況は〜ということを意味しているのではないか?」など、それはもう色々なしかたで誤解する。 「精神的な距離は物理的な距離とし…

「かわいそう」と「ひいてる」の使い方

「かわいそう」という言葉は、「かわいそうだ」と思う人のいるその場で使ってはいけないんだと思う。「かわいそう」という言葉もまたその人を傷つける。 同じように、「〜さんひいてるじゃん」という言い方も、その「ひいてる」ように見える人のいるその場で…

陰謀論はどうしてこんなに流行るのか

政権批判の材料として、しばしば「陰謀論」(conspiracy theory)が語られる。 現政権は〜しようとしているのではないか?(主観的な確率20%) →〜しようとしているしたら◯◯や△△にも合点がいく(勝手に確率50%を上回る) →◯◯や△△は現政権が〜しようと…

SNSにおける「悪意」の拡散

SNSを見ていると、「悪意」をもった書き込みがすごい勢いで拡散・展開していくのをよく目にする。「いいね!」や「RT(リツイート)」など、SNSは個人の投稿を拡散することがシステムの根幹をなすように設計されている。特にFacebookは「羨み(Envy)」を拡…

世論について考える

「世論」(public opinion)がどのように生まれ、変化していくかということに、近頃の私の関心は集中している。その一環として、ジョン・デューイの『公衆とその諸問題』(ちくま学芸文庫)を読んでいる。彼はウィリアム・ジェイムズの影響を受けたプラグマ…

「らしさ」ってなんだろう

「〜らしい」という言葉がよく使われる。「女性らしい」とか「◯◯さんらしい」とか「日本人らしい」など、例はいくらでもある。しかしどれも「それってどういうこと?」と聞かれると、それほどうまく答えられるものではない。 例えば「女性らしさ」というのは…

都市の人々は地動説を獲得できるか

(品川区南大井にて撮影) (三鷹市井の頭の三鷹台駅ホームにて撮影) 都市には高層ビルが立ち並び、高い壁に遮られた空は、人々にとって高く感じられる。それは人々の立つ地上の遥か上空に地上と平行に拡がっているように感じられやすいだろう。 しかしもし…

「最高の娯楽は学ぶこと」に対する不安

私にとって、最高の娯楽は学ぶことであり、普通の遊びを私はほとんど知らない。「遊びを知らない男はつまらない」という世間の価値観があまりに強すぎて、私は自分の足元がぐらついているように感じることがこれまでに何度もあった。今でもたぶん心のどこか…

コロイド的なもの

近頃、塾の生徒を教えるのに高校の化学を学んでいて、「コロイド」(colloid)というのを知った。大きいものが小さいものに溶け込んでいる物質の状態を指すもので、その「大きいもの」のサイズは直径1nm〜100nmの粒子(コロイド粒子という)で、この大きさの…

バレンタインデーの1日

今日は日記風に書いてみようと思う。 バレンタイデーということでGoogleのトップページも案の定面白いことをしている。 去年の10月以来、久しぶりに髪を切った。すっかり前髪が伸びてしまっていて、風の強い日は少し鬱陶しさを感じるような状態だったが、そ…

アイドル・偶像・ヒーロー

ある個人の心の隙間に入り込むものについて、以前に記事を書いた。そこでは個人の絶望や断念が、心のうちに隙間を生み出し、他者と連帯していく事態を中心に記した。それに対して今回は、絶望や断念が、特定の他者のもとに帰属し直す事態、つまりアイドル・…

安易な一般化の問題ーりんごが赤いからといって、果物がすべて赤いとは限らない

このブログもついに100個目の記事になった。なんだか妙に感慨深い。 今回は固定観念とかバイアスということについて、最近の例も挙げつつ書いてみようと思う。あらゆる暴力性や残酷性は、必ずしも悪意に由来するとは限らず、無知や偏見に由来する場合もあっ…

天気みたいなもの

トピック「本屋」について、幾つかの本をもとに「天気」について考えていることを書いてみようと思う。 天気といえば、国境などおかまいなしに広がって刻々と変化していて、ある時ある国の上空にあった雲が、風に流されて他の国の上空に移動したり、あるいは…

好きということ

誰かが誰かを好きになるとき、相手のどこが好きになったのか、わかる場合とわからない場合がある。「わかる」というのは「相手のどこを好きになったのか」と聞かれて答えられる、くらいの意味だ。 それに対して、相手をずっと好きでいることは、「わからない…

クァンタン・メイヤスー『亡霊のジレンマ』(岡嶋隆佑)を読んで

現代思想 2015年1月号 特集=現代思想の新展開2015 -思弁的実在論と新しい唯物論-作者: 千葉雅也,中沢新一,大澤真幸,赤坂真理,クァンタン・メイヤスー,フィリップ・デスコラ,篠原雅武,重田園江出版社/メーカー: 青土社発売日: 2014/12/27メディア: ムックこの…

「科学的でないものは誤り」の科学的な誤りについて

科学を大事にしている人の一部がよく使う台詞に、「そんなものは科学的でない。だから誤りだ。」とか「私は科学的でないものは信じない」というようなものがある。今回は特に前者の台詞について書こうと思う。後者についても別の機会に書こうと思っている。 …

こころの隙間に入り込んでいくもの

「考えずにお手軽にインストールすること」の根本的な問題について考えたことを書こうと思う。 福岡にいた頃には、新興宗教や詐欺の勧誘を経験することがなかった。しかし東京に出てきて以降、そういう勧誘を何度か経験した。ときにはかなり危ないところまで…

価値観を含むシステムと、含まないシステム

人間に関するシステムを考える場合に、規範的(normative)なものを考えるか実証的(positive)なものを考えるかということについて考える。 経済学(Economics)はよく「社会科学の女王である」と言われる。「社会科学」(social science)という言葉には「…

集団で決めること

集団で正解を考え、判定すること、つまり「民主的手続きによる決定」において、集団の中ではたらく力学と、議論の参加者の間で著しい情報の非対称性が存在する状況での情報強者の役割について考えている。それは互いに異なる者どうし、私と他者との相互作用…

メディアは知性を評価できるか

知性の優れた人が、「優れた人」であることを示すには、わかりやすい「目印」がなければならない。それは例えばノーベル賞であったりする。そのような目印がなければ、いや、本当は目印があったとしても、人はその人の知性に気付かず、したがってそれを評価…

答え合わせのないまま進む議論と、それについていく人々

近頃、知識や思想、体系の伝わり方ということについて、心配に思うことが多い。 例えばある著名な人の講演会やトークライブなどで、専門知識のない人が専門家同士の議論を聞いていても、内容が専門的でどちらが正しいか判断できないということがある。専門家…

情報化時代で問題になるのは「意識」だと思う

「無意識」について考えていて、そこから発展した、情報化と意識の関係についての考えを書いてみようと思う。 人間が普段やっている判断の9割以上は無意識によって決定されている、と言われる。人間というのはともすると、「意識してものを考えたり感じたり…

人工知能と社会科学の関係

人工知能(AI)についての動画を見た。 動画の後半で、人工知能について考えることを通じて、人間は自分たちがどんなルールに基づいて生活しているのかについて反省する機会を得ることができる、再考を迫られる、そういう側面があるというようなことについて…