2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

クァンタン・メイヤスー『亡霊のジレンマ』(岡嶋隆佑)を読んで

現代思想 2015年1月号 特集=現代思想の新展開2015 -思弁的実在論と新しい唯物論-作者: 千葉雅也,中沢新一,大澤真幸,赤坂真理,クァンタン・メイヤスー,フィリップ・デスコラ,篠原雅武,重田園江出版社/メーカー: 青土社発売日: 2014/12/27メディア: ムックこの…

「科学的でないものは誤り」の科学的な誤りについて

科学を大事にしている人の一部がよく使う台詞に、「そんなものは科学的でない。だから誤りだ。」とか「私は科学的でないものは信じない」というようなものがある。今回は特に前者の台詞について書こうと思う。後者についても別の機会に書こうと思っている。 …

こころの隙間に入り込んでいくもの

「考えずにお手軽にインストールすること」の根本的な問題について考えたことを書こうと思う。 福岡にいた頃には、新興宗教や詐欺の勧誘を経験することがなかった。しかし東京に出てきて以降、そういう勧誘を何度か経験した。ときにはかなり危ないところまで…

正しいことは多数決で決められるか

近頃、大衆(mass)や世論(public opinion)、公衆(public people)という言葉に敏感になっている。それらの言葉をもとにいろいろ想像力をはたらかして、考えることが増えた。たとえば下の記事もそのきっかけのひとつである。 <a href="http://gendai.ismedia.jp/articles/-/41776" data-mce-href="http://gendai.ismedia.jp/articles/-/41776">SmartNews鈴木健【第2回】「</a>…

価値観を含むシステムと、含まないシステム

人間に関するシステムを考える場合に、規範的(normative)なものを考えるか実証的(positive)なものを考えるかということについて考える。 経済学(Economics)はよく「社会科学の女王である」と言われる。「社会科学」(social science)という言葉には「…

集団で決めること

集団で正解を考え、判定すること、つまり「民主的手続きによる決定」において、集団の中ではたらく力学と、議論の参加者の間で著しい情報の非対称性が存在する状況での情報強者の役割について考えている。それは互いに異なる者どうし、私と他者との相互作用…

メディアは知性を評価できるか

知性の優れた人が、「優れた人」であることを示すには、わかりやすい「目印」がなければならない。それは例えばノーベル賞であったりする。そのような目印がなければ、いや、本当は目印があったとしても、人はその人の知性に気付かず、したがってそれを評価…

答え合わせのないまま進む議論と、それについていく人々

近頃、知識や思想、体系の伝わり方ということについて、心配に思うことが多い。 例えばある著名な人の講演会やトークライブなどで、専門知識のない人が専門家同士の議論を聞いていても、内容が専門的でどちらが正しいか判断できないということがある。専門家…

情報化時代で問題になるのは「意識」だと思う

「無意識」について考えていて、そこから発展した、情報化と意識の関係についての考えを書いてみようと思う。 人間が普段やっている判断の9割以上は無意識によって決定されている、と言われる。人間というのはともすると、「意識してものを考えたり感じたり…

人工知能と社会科学の関係

人工知能(AI)についての動画を見た。 動画の後半で、人工知能について考えることを通じて、人間は自分たちがどんなルールに基づいて生活しているのかについて反省する機会を得ることができる、再考を迫られる、そういう側面があるというようなことについて…

頻度と思い出をつなぐもの

いまや卒業式の定番となった合唱曲「旅立ちの日に」(作詞:小嶋登 作曲:坂本浩美)を、ひょんなことがきっかけで久しぶりに聴いた。 中学生の頃、音楽の時間に練習したこと、音楽の先生の伴奏、恥ずかしがって最初はちゃんと声を出して歌えなかったこと、…

よい面を活かすことのむつかしさ

アニメ「もやしもんリターンズ」の第10話を見ていて思ったことを書いてみようと思う。 そこではワイン作りについて登場人物が会話するシーンがあるのだが、そのシーンを見ていて、 「ああ、何かを科学的に営むというにしても、結局それが人間の手によるのだ…

言葉と冗長性

例によって、全く関係のなさそうなことから始まって、いつの間にか本題に移っている、そんな構成の文章になってしまった。※この一文は冒頭にあるが、順序としては途中に書かれた。 年末年始にかけて、実家にも帰らずに自宅にずっとこもっていた間、勉強をし…

迷路の壁と、道を選ぶ人間

四角を書いて、その左上と右下に2つ点をとり、片方の点からもう片方の点へ行くにはどうすればいいかという問題を考える。この答えは単純で、2点を直線で結べばいい。 次はそこに、壁を置いてみる。するとまっすぐは進めなくなって、進み方は制限される。壁…