2015-12-01から1ヶ月間の記事一覧

歴史に出会う時

私は幼い頃から、自分の身に起こったことについて、あまり頓着しないところがある。頓着しないから覚えていないのか、それとも覚えていないから頓着してもしょうがいないと考えているのか、それは判然としない。とにかく頓着はせず、また覚えていない。しか…

私と元号

今年のクリスマスイブは、27年間で最悪のクリスマスであった。私はその日、職場に自宅の鍵を忘れてきてしまい、自転車で深夜に帰宅して鍵を開けようとしたときにそのことにようやく気がついて呆然とした。隣人に一晩だけ泊めてもらえないか頼んでみたが、案…

3杯のダージリン

前の彼女からもらったティーポットで、ずいぶん前から冷蔵庫の中で眠り続けていた紅茶を淹れた。茶葉はすっかり乾燥しきっていた。 とある友人からもらった電気ポットでお湯を沸かし、それを計量カップへ移しかえた。電気ポットから直接ティーポットへお湯を…

誰が落としたか いつ落としたか どうして落としたかもわからない小石が水面に触れると 触れた以上はどうしてたって波紋が広がる 波紋が消えてしまう迄に ただ水面が揺れるだけでない様々な事柄が まるで自然であるかのように次々と起こり それは新たな小石や…

甲州街道につかまって

先週の金曜日に経験した、鳥肌の立った出来事について、その印象の強度が弱まっていく前に、文章にしておこうと思う。 私はその日、深夜の3:30まで開いている渋谷のスクランブル交差点のところのスターバックスの店へ行った。私は店にいるとき、ふと思い立っ…

みかん

この記事は、26歳の自分として書く、最後の文章になるかもしれない。少なくともこの「はてなブログ」で書く文章としては。もうすぐ、私は小学校1年生の時の担任の先生と同じ、27歳になる。私は先生と、ある何らかの意味で同じようにものを考える、そういう人…

子どもと地震と日本

湊かなえの『告白』*1という作品を読んでいる。第2章まできて、学校が舞台になっていることがきっかけで、私の中で学校とか子どもについての見方が変わってきた。それについて考えたことを少し書こうと思う。そしてそれは、少し前に地震について考えていた…

働くことの中にある自己満足

働くことには、誰かから給料という対価をもらうことによって評価されるという他律的な側面と、誰からも評価されなかったとしても私自身が満足することができるという自律的な側面の、二つの側面がある。経済学では、市場における交換と分配を中心に据えるの…

人間にとっての未来、コンピュータにとっての未来

彼女がiPhoneのカレンダーアプリで西暦2015年からずっとスクロールして、西暦3000年のカレンダーをスクリーンショットしたものを見せてきた。そこで私は、要らぬ対抗意識のようなものに突き動かされるようにして、そのずっと先まで、西暦10000年までスクロー…

無根拠的に展開される社会現象の可能性

社会学や文学の領域も含めて、一般に思想や哲学を論じる人間は、思想や哲学が人間の行動を根本的なところで規定しているものを探り当てるということを前提として、自らの議論を展開していく。 しかし、思想や哲学などとは無関係な、それらとは全く断絶したと…

iPhoneは普遍性をもつか

柄谷行人の『トランスクリティーク』*1を読んでいるせいか、普段の生活の中で、「普遍的なものとはなんだろう」とぼんやり考えることが増えた。時間と空間は普遍的な存在であると、とりあえずは言える。両者はいたるところで、常に、変わることなく存在し続…

バラバラであって、一つであるようなもの

ロードバイクに乗る時に、私はときどきクラブミュージックをかけて道を走る。そしてアルバイト先へ向かういつもの道を走っていると、街の中のいろいろなものが目に入ってくる。信号機、整骨院、政治家のポスター、駐車場に止められた自家用車、いろいろな年…

ツインテールのリアリズム

井の頭線の渋谷駅の改札を通って山手線に乗り換える途中、ツインテールの女子高生が、自分の三歩ほど先を歩いていた。私はそれを見て「高校生にもなってツインテールはどうなのか」と感じた。それがこの省察の起点であって、私はツインテールやオタクファッ…