日常

言葉にこだわることは、ロジックにこだわること

先日こんな記事を読んだ。 diamond.jp 記事の中で述べられていることだが、マッキンゼーの人たちはプレゼンをするとき、難解な専門用語はほとんど使わず、あくまで日常の言葉でプレゼンするらしい。下手に「ファネル」だの「マトリクス」だのと「それらしい…

何を自動化し、何を自動化しないか

普段ニュースといったらSmartnewsとNewsifyというアプリの2つを中心に使っている。ちなみにテレビは見ない。そのNewsifyで読んでいた記事の中に、「Newsphere」という見慣れないニュースサイト(記事は日本語)があった。 newsphere.jp そのサイトをMacBook…

検索エンジンと人間の関係について考える

【目安時間:10分】 関心の変化 検索エンジンの役割について再考する あえて情報を引き出す手間をかけることの意義 人工知能と検索エンジンの関係という問題 関心の変化 久々にブログを更新する。前回の記事は大学院の院試の直前で、まだそれに向けてルベー…

また明日からルベーグ積分の勉強がんばろう。

2ヶ月以上も更新していなかった。今年は割とちゃんと記事を書き続けてきたものの、最近になって急に記事を書く気がなくなってしまっていた。いろいろと悩んだりすることもあり、精神的に停滞しきっていた。 それでもひょんなことがきっかけであっさり元通り…

集団内の情報伝達コストの効率化について

【4488字 目安:10分】 今週号のジャンプのこち亀が面白い。何が面白いかというと、「集団における情報処理」の興味深いパターンがそこに登場するからである。どういうことか。 作品の中で、両さんが祭りの運営に関する詳しい知識を元に、迷子になった子供の…

人とコンテンツの関係について

【1927字 目安:4分】 書店の本というのは、トピックやテーマ、概念、キーワードなど、つまり「何が書かれているか」ではなく、著者、つまり「誰が書いたか」を基準に並べられていることが多い。人文思想の「人格化」という言葉をとある動画で聞いて「確かに…

幽霊論

【字数:950字 目安時間:2分】 (出典:【画像も】怖いくらいに美しい松井冬子の作品の値段などを大発見! | まとめアットウィキ - スマートフォン いずれも東京芸大出身の画家、松井冬子さんによる作品。不気味なものがまさにその不気味さを前面に出し、そ…

設計するということ

トヨタのTNGAとTCP/IPの共通点 生物における階層化 モジュール化について トヨタのTNGAとTCP/IPの共通点 2015年5月2・9日合併号の週刊東洋経済のトヨタ特集を読んでいる。トヨタの自動車設計についての新しい構想「TNGA」(「トヨタ・ニュー・グローバル・ア…

日本語で出会えるもの、英語で出会えるもの

【2424字 目安:5分】 「世論」というのを、「それは社会における情報処理の一形態である」というふうに考えるとどうだろうと思って、ネットで検索しても、日本語では「これは!」と思うものに出会えない。 しかし「social information processing」で検索す…

電車の中のセル・オートマトン

【432字 目安:1分】 電車の中で、音出してスマホのゲームしてるヤンキーみたいな格好した若いあんちゃんがいて、シャンシャンシャンシャン音がうるさいから直接言おうかと思ったけど、今日はできなかった。 彼は他の人に言われることもなく、したがって自分…

高校の数学Aを日常に応用する

【509字 目安:1分】AならばBが成り立つとき、BだからといってAとは限らない。日本人だから人間だ、が成り立つからといって人間であれば日本人であるとは限らない。能力や人格が優れた人ならばお金をたくさん稼げる、が成り立つからといって、たくさん稼げた…

様々なる情報処理

【1462字 目安:2分】 名前からして当然といえば当然なのかもしれないが、情報処理の効率性についての研究が一番進んでいるのはやっぱり情報科学の分野だろう。 情報処理に使う「要素」の数の多さに対する効率性という点で。 この分野の技術進歩は著しく、今…

両極端に走りがちな世論

【1745字 目安:3分】 ISIS=イスラム教徒=悪者 という謎の方程式がでっちあげられている印象を受ける。 そしてメディアではその反動として、「イスラム教徒は危ない人達ではない」と主張する記事も増えている。直近で見たものだと例えばこれ。 <a href=…

新聞とテレビについて

メディアの偏向報道が取りざたされることが増えた。いつからか。安倍政権になってからか?安倍政権はイカれてるのだろうか?私としては正直そんなことはどうでもいい。というより、そういう捉え方で実りある議論が成り立つとは思えず、あくまで自分が解決に…

しるしのつながり

私はよく誤解をする。「〜は〜だからではないか?」「〜と言ったあの人の意図は〜ということなのではないか?」「〜というこの状況は〜ということを意味しているのではないか?」など、それはもう色々なしかたで誤解する。 「精神的な距離は物理的な距離とし…

群選択における群の階層

「群選択」(group selection)という言葉を使う場合、通常は自分個人ではなく、自分の所属する集団にとって望ましい選択とされる。気になるのはこの「自分の所属する集団」というところで、互いに階層の異なる複数の集団にある個人が所属している場合、個人…

誰かが1を言えば、すぐに100になってしまう風潮への違和感

安部総理の「我が軍」発言が左翼(「安部政権は日本を滅ぼす」論者、日本亡国論者、「軍国主義」*1反対論者など)の間で問題になっている。20日の参院予算委員会で自衛隊を指してこのように発言した。総理自身のその後の発言では、 「共同訓練に関する質疑の…

つめこみ教育とゆとり教育

「つめこみ教育とゆとり教育のどちらがよいか」ということがしばしば議論される。つめこみ教育はとにかく多くの知識を生徒につめこみ、ゆとり教育は知識の量を抑えつつ、生徒自身に考えるゆとりを作ることを強調する。 私はどちらにも反対だ。そもそも「あれ…

SNSにおける「悪意」の拡散

SNSを見ていると、「悪意」をもった書き込みがすごい勢いで拡散・展開していくのをよく目にする。「いいね!」や「RT(リツイート)」など、SNSは個人の投稿を拡散することがシステムの根幹をなすように設計されている。特にFacebookは「羨み(Envy)」を拡…

世論の物理学は可能か

世論はどうやって決まるか 代議制民主主義が政治的意思決定のプロセスの基礎を担うようになって久しいが、その一方で「世論」(public opinion)がいかに形成され、変動し、政治や文化、経済、社会というサブシステムを介して特定の決断を下すに至るかという…

イライラを活かす

私は基本的に怒らない。それは疲れるということもあるけれども、なにより「怒っても問題は解決しない」と経験的に感じているから。怒るくらいなら何が問題かをきちんと話し合う方が前に進める。しかしだからといって、イライラしないかというとそうでもない…

集団を支配する無意識

「集団がまずあって、個人というものがそこから分化して発生してきたという順序だと私は考えている」というようなことを以前の記事に書いた。しかし、今は「個人」(individual)というものが生まれた後の時代であるから、「個人から集団へ」という順序もあ…

「らしさ」ってなんだろう

「〜らしい」という言葉がよく使われる。「女性らしい」とか「◯◯さんらしい」とか「日本人らしい」など、例はいくらでもある。しかしどれも「それってどういうこと?」と聞かれると、それほどうまく答えられるものではない。 例えば「女性らしさ」というのは…

言葉以前の世界にどう触れるか

世界は言葉よりも前に生まれている。たとえこのことを言葉を使わなければ表現できないとしても、世界は言葉に先立つという事実は揺らがない。 「◯◯以前の世界」という言い方に少し興味がわいている。たとえば男女以前の世界はどうだったのかと言われれば、無…

エビングハウスの実験と記憶について

「エビングハウスの忘却曲線」というのがある。最初に何かを覚えてから、時間が経つにつれてどれくらい忘れていくかということを曲線で表したもので、よく勉強法の話題などで取り上げられる。 (出典:エビングハウスの忘却曲線 | SAKURA PRESS) この画像に…

都市の人々は地動説を獲得できるか

(品川区南大井にて撮影) (三鷹市井の頭の三鷹台駅ホームにて撮影) 都市には高層ビルが立ち並び、高い壁に遮られた空は、人々にとって高く感じられる。それは人々の立つ地上の遥か上空に地上と平行に拡がっているように感じられやすいだろう。 しかしもし…

祭りをめぐる集合意識と個人の同質性

最近、木村敏さんの『時間と自己』(中公新書)を読んだ。もともと興味があった本ということで読み始めたのだが、近頃の関心である「大衆」や「集団と個人」というところとも関係する内容であることに気付かされた。 大衆については「多数決で正しいことを決…

バレンタインデーの1日

今日は日記風に書いてみようと思う。 バレンタイデーということでGoogleのトップページも案の定面白いことをしている。 去年の10月以来、久しぶりに髪を切った。すっかり前髪が伸びてしまっていて、風の強い日は少し鬱陶しさを感じるような状態だったが、そ…

アイドル・偶像・ヒーロー

ある個人の心の隙間に入り込むものについて、以前に記事を書いた。そこでは個人の絶望や断念が、心のうちに隙間を生み出し、他者と連帯していく事態を中心に記した。それに対して今回は、絶望や断念が、特定の他者のもとに帰属し直す事態、つまりアイドル・…

安易な一般化の問題ーりんごが赤いからといって、果物がすべて赤いとは限らない

このブログもついに100個目の記事になった。なんだか妙に感慨深い。 今回は固定観念とかバイアスということについて、最近の例も挙げつつ書いてみようと思う。あらゆる暴力性や残酷性は、必ずしも悪意に由来するとは限らず、無知や偏見に由来する場合もあっ…