美容院を変える客と囚人のジレンマ

もう一年以上前のことになるが、私が使っている美容院でスタイリストの方と話したことを書こうと思う。ちょうど今日、久々にその店でまた髪を切ったのだが、別のスタイリストの方とこの話をして、以前より話の筋がまとまったので、文章にすることができるだ…

ルールの役割について

「一概にA」という言い方 ケース1:長財布と知性 ケース2:秦王朝と官僚制 全称記号と存在記号 全称記号について 存在記号について 「一概にA」の話とどうつながるのか ルールの存在意義について 効率の観点から説明がつくもの 赤信号で渡ってはいけないとい…

テレビに写ってないときのことなんてどうでもいい

たまには酒屋の愚痴みたいなことを書いてみようと思う。最近、芸能人や著名人の舞台裏の話、楽屋ネタ、秘話の類がやたらと目立つように感じる。全ての番組を見ている訳でもないので、客観的にみてそういうものがテレビで語られる回数なり時間なりが増えたの…

対話の条件

きっかけと補助線 先生と生徒の関係 反証可能性 対話の類型 専門家と素人の対談 講演会 専門家どうしの対談 対話の条件と私のこだわり きっかけと補助線 対話には、自分と相手の両方が対等に考えを述べられるという条件が必要だ。当たり前といえば当たり前の…

形而の上と下

形而上学と哲学 語源から考える 哲学の起源と形而上学 抽象的思考と哲学、そして形而上学 抽象的に考えることと哲学的に考えること 抽象的に考えることと形而上学的に考えること 抽象を通して 形而上学と哲学 語源から考える 形而上学と哲学は、しばしば実質…

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を読んで

先日、村上春樹の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を読み直した。今回が二度目だった。初めて読んだのは単行本が出版されてすぐの頃だったので、もう二年以上前になる。改めて読んでみて、これまでに読んだ他の作品も含めて一般的に言えること…

原罪と自由意志

責任にまつわるある疑問 フロムとフリードマン トートロジーと2つの用法 トートロジーを避けて考える トートロジーの形式的定義 偏見に関する三段論法 偏見の前提 結果としての善 想定される批判 フリードマン再び 原罪と信仰 逃れられないもの 避けられない…

小説の好みと絵の好み

重松清と百田尚樹 重松清と百田尚樹を同列に語れるのかどうかはわからないが、私は以前から、どちらの作家も好きになれない。重松清は毎作毎作感動させようとしてくる感じが露骨で冷めてしまい、百田尚樹はイデオロギーむき出しな感じが冷めてしまう。感動自…

コンコルドの誤謬の抽象化

尾崎豊のとある曲の中の表現から 3通りの抽象化 コンコルドの誤謬とは 形式的な表現 コンコルドの誤謬の抽象化 迷路についてのイメージを媒介とした抽象化 過去の記事を用いた説明 抽象化の過程 形式的な表現 抽象化を重ねる 経験から得られたことを整理する…

ポスト真実を考える前に

AbstractなAbstract ポスト真実の定義と問題提起:D→Q もっと簡単に真実を知るために:Vα→Vβ 視点α:情報を発信する側の工夫 視点β:技術 これまでの私の問題意識とどう通じるか:P(Q[past]→PS[V1, ... ,V5]) 視点1 時系列に沿って考えるということ(通時性…

笑うことと面白いこと

笑いはするが面白いとは感じないこと:アキラ100%とPPAP 笑いはしないが、面白いとは感じること:『自民党』と『経済成長の果実』 笑うことの良し悪し 要するに何が言いたいのか 笑うかどうかと面白いかどうかは別のことだと私は考えている。理由はいたって…

何のせいだと考えやすいか

心の中の綱引き 個人の綱引きと集団の綱引き では結局どう考えれば綱引きは公平になるというのか 自分自身のことについてうまくいかないとき、その原因を考える。そのとき、自分にはどうにもできない要因(以下「要因A」とする)と、自分にはどうにかできる…

植物の生と動物の生

『置かれた場所で咲きなさい』という本がある。渡辺和子さんというカトリックの修道女の方が書かれた本で、2012年に単行本が発売されて以来、はじめはそれほどでもなかったように思うが、去年などもけっこう話題になり、文庫化もされ、今や200万部を超えるミ…

インフレターゲットと弾力性について

「弾力性」への導入 単純なケースで弾力性の効果を考える 技術革新とマイナス金利 まとめ 「弾力性」への導入 先日インフレターゲットの効果に対する懐疑を示す記事を書いた。 plousia-philodoxee.hatenablog.com この記事は4月20日に書いたあとに一旦下書き…

働き方改革もインフレターゲットもマイナス金利も意味ないんじゃないか

と思っている。問題はむしろ一部の人間がもっている莫大な資産*1が消費でなく銀行預金に回され、しかし預金に回されたところで消費の当てがなければその預金が融資につながることもなく、それでも銀行はやっていかなければならないので日本やアメリカの国債…

情報の系列化

少し以前のできごとになるが2月の上旬にこんなニュースがあった。18歳のアイドルである松野莉奈さんが急死し、その死因について、事務所の正式な発表がなされる前から「ウイルス性の脳症が原因では?」というデマの情報がTwitterなどで拡散したというものだ…

情報と時間

近頃、情報と時間の関係について考えることが多くなった。それぞれの情報は、その属性に応じて、必要とする人へ届けられるべき「タイミング」というものがあるが、現在のインターネットはそういうところがうまく設計されていないのではないかと感じることが…

クリスマス

久々の投稿になる。前回の投稿から何冊か本を読んだり、考えたりしたこともあったが、特に文章にしたりはしないまま、27歳だった私は誕生日を迎えて28歳になり、気づけばもうクリスマスである。 さて今年のクリスマスイブは去年とは違い、あえて仕事を休んだ…

視力

比喩的にも文字通りの意味でも、目の悪い自分に比べれば、作家や画家やアニメーターや、映画監督やデータサイエンティストといった人たちの目の方が、何かについてよほどよく見えているんじゃないかと感じることがある。 たとえば自分に見えている「東京」よ…

非父論

道徳論を声高に主張する女性が抱く父へのイメージというのが、大体似通っているということを経験的な直観としてもっていたのだが、阿川佐和子さんが最近『強父論』という本を出しているのを書店で見て、ますますその直観に対する確信を強めた。 強父論 作者:…

Siriたち、或いはGoogleたちについて

iPhoneに標準搭載されている音声ガイドのSiriは、使えば使うほど利用者の要求にあった対応ができるように学習していく。しかし多くの人はそこまで辛抱強くSiriを使い続けることはないのではないだろうか。一部のヘビーユーザーたちのSiriは、とってもとって…

出合った相手ではなく、出会い自体とどう付き合うか

アナロジーと等価性 実存から構造へ 他の誰かが通った道 歴史と出会い 浪費と出会い 技術がもたらす出会いの形式 出会いとは別の道 アナロジーと等価性 数学では、マイナスにマイナスをかければプラスになる。このことは環(ring)と順序(order)の基本性質…

入門の門の奥

私は書店が好きで、特に何か特定の本を買うというわけでもないのに、毎日のように書店に行く。書店に行くと、そこに置かれている入門書の多さに驚く。いったい世の中には、どれほど多くの「門前」の人々が存在しているのだろうかと思わずにいられない。経済…

高校生に現代文を教えながらよい文章の構造について考える

やや更新が途絶えていた間に2016年もすっかり夏に入り、私がアルバイトをしている個別指導塾では夏期講習が始まった。私はその中で、高校生に向けて現代文の読解の仕方について授業をしている。普段の授業では英語(それも英語の文法)ばかり教えている私が…

ディスプレイと紙

今日は以前から気になっていた喫茶店「三十間」にやってきた。今年(2016年)の1月19日にオープンしたばかりの店ということで、まだ半年も経っていない。もともと銀座にあるお店が青山にも出店したということのようで、店についてからその辺の事情を知った。…

文章の文法をもとめて

Twitterに投稿したつぶやきをもとに記事を作ろうと思う。テーマは言葉の単位とそのルールについて。 ある公式を使って問題を解けるかどうかは、根気よく学び続けられるかどうかという意味で「練習」の問題だが、まだ証明されていないことがらを証明して新た…

一度通った道が見つからないということ

日曜日の夜だ。京王井の頭線の改札近くのスタバで英語の文法の勉強をしていたのだが、途中からなんだか眠くなってきて、パソコンを開いた。ちょっと最近考えていることを書いてみようと思う。インターネットと記憶について。 インターネットを使って何かの記…

言葉と行動

受験生とその親 カマキリとシロアリ カマキリ シロアリ どういう教訓を引き出すか 黙って行動すること 欲求について 受験生とその親 言葉ではなんとでも言える。けれど人間は、言葉ではわかっていても行動できないことが多い。言葉と行動とはそれほど密接に…

「拝啓、いつかの君へ」とマイケル・サンデル

先日、バイト先の塾の校舎でマイケル・サンデルの『これからの正義の話をしよう』のことが話題に上った。「上った」と言っても、話し相手の口から「あの本は面白いですよ」というセリフが出てきたというくらいのもので、私はといえば、その会話以来、「正し…

ハッシュタグで情報を減らす

ネット上に色々な人が色々なことを書き込むようになればなるほど、そこから自分の欲しい情報だけを取り出すのは難しくなるというのは、すでに多くの人間が指摘してきたことだ。まとまった量の文章を書くことはできなくても、140字なら書くことがあるという人…

何かを思い出すということ

何かを思い出すということと検索エンジンとの関係について。

ウェブページの読みやすさは書き手が決めるべきか

はてなブログでは自分のブログのデザインを色々と変更することができる。HTMLやCSS、Javascriptのコードを使えば変更の幅は広がるが、私はデザインを変更するときにはテーマを変えるくらいのものだ。自分にとって一番読みやすいテーマを探しては、割と頻繁に…

天邪鬼と知性

先日、アルバイト先で私が読んでいた本について、同僚とこんなやりとりをした。発言は正確ではないが、概ね以下のように進んだ。 同僚X:「○○さん、『ネット・バカ』読んでるんですか?」 私:「そう。この本が流行ったのは数年前なんだけど、そのときには何…

住宅街と図書館と、それから地球儀:モデルの意味

ロードバイクで住宅街の中を走っていると、自分のいる道と交差する道が次から次へと現れる。それぞれの道は自分のいる場所からずっと奥に向かって伸びており、その両側にはたくさんの家が立ち並んでいる。 小さい頃、図書館で本を読み漁っていたとき、あるい…

ランキングと記憶と銀行について

1. 私は時々、順序がつけられる前のウェブというものがどんなものだろうかと思ったりする。莫大な情報がなんの秩序(order / pattern)も持たずに散乱している広野のようなウェブというものを見ることはできるのだろうか、と。検索エンジンが、ニュースキュ…

主観的なランキングと客観的なランキング

Googleは当初、厖大なウェブページの客観的なランキングを行っていた。誰が見ても同じページは同じ順位にあって、新しいページが加わればランキングは更新されるが、それはランキングを見る人間とは独立に生成されるものだった。やがてランキングは「パソナ…

路線図:駅:街→私

(東京の路線図。なんとまあ複雑なことよ。) はじめに言っておくと、この記事は路線図と街の関係について書いているようで、実はそうではない。テーマが何であるかは読み手の方々の想像にお任せする。そんなにもったいぶるほどわかりにくい比喩でもないとは…

ゲームとメタゲーム

たいていのゲームには、「そのゲームに勝つ(負ける)ことによって」という形で勝敗が決まる「メタゲーム」が存在すると私は思う。親が自分の子どもとの勝負(何かもっと具体的な例を挙げるべきなのだが、あいにく思い浮かばない。各自で適当なものを当ては…

サイコロが人とAIを振り分ける

サイコロの各目の出る確率を考えるとき、人間は何度も繰り返しサイコロを振らなくても、極端な話、一度もサイコロを振らなくても、それぞれの目が出る確率が6分の1であることを見抜くことができる。これを「直観」と呼んでいる人も多い。少数のデータから答…

X=746

1から始まって、その次に2がきて3がきて、数はどんどん増え続ける。今ではもう1000をゆうに超えてしまったことだろう。そしてこれから先も、この数はどんどん増え続ける。増えるスピードはゆるやかになっていくかもしれないが、減ることはなく、増え続ける。…

玉石混交の単位

「ネット上の情報は玉石混淆だ」としばしば言われる。専門家も素人もネット上にいろいろなことを書き込むためにこういう言われ方をするようになる。インターネットが登場して以来、この「玉石混淆」という形容が使われるようになってからもうずいぶん経ち、…

百貨店と検索エンジン

改めて考えてみると、百貨店と検索エンジンには共通する問題がある。そのことについさっきふと気がついた。百貨店は常に、限られた時間しか持たない利用者に、百貨店の中に並ぶ複数の店舗に足を運んでもらって、欲しいものをちゃんと入手してもらう仕組みを…

SNSのある種のつまらなさについて

たまにFacebookやTwitterなどで、「〇〇について詳しい方いらっしゃったらぜひ教えてください!」という投稿を目にすることがある。 人望のある人間や信用のある人間、社交性のある人間、平たく言えば「リア充」とも言えるような人々なら、その投稿にたくさ…

Wikipediaの記事の生成を自動化できるか

Wikipediaの記事にはいろいろな参考文献のリンク情報が載っている。それらは書籍であったり、特定のウェブサイトであったり、論文であったりする。ある項目について記事を書く場合に、どういう情報が必要であるか、どういう書籍のどの部分を使って文章を書け…

論理的思考よりも大事なことを見落とさない注意力の方が欲しい

SNSも含めネット上をあちこちウロウロしていると、たまに性格診断系のサービスに出くわして、これはまともそうだなと思ったものだけ診断をしてみるのだが、「あなたは論理的思考タイプです」というような結果になることが多い。自分ではまだまだ論理的思考と…

簡潔な表現について

ある事柄について、その本質だけを簡潔な言葉で無駄なく表現できる人間というのがいる。滅多に目にすることはないけれども、たまに見かけることがあって、感心させられる。そういう人物どうしであれば、たとえば140字の字数制限のあるTwitter上でも齟齬なく…

並べ替えや選別から処理へ

改めて考えてみると、検索エンジンやキュレーションが行っていることの本質は、ウェブ上の様々なページのランク付けや選別だ。Googleはウェブ上の厖大なウェブページの中から、検索者が最も必要としていそうな特定のページを探し出そうと、今日もアルゴリズ…

RSSでもキュレーションでもGoogleでもSNSでもなく、欲しい情報をどうやって得るのか

高校生の頃、ジャパハリネットというバンドの「物憂げ世情」*1という曲が体育大会で使われた。ふとしたきっかけで久しぶりに聴きたくなって、YouTubeで探して聴いていると、歌詞のある部分が気になった。 溢れすぎる情報と毎日飛び交う電波の中 良くも悪くも…

決済手段が変わると行動パターンが変わる?

FinTechやブロックチェーン、或いはビットコインが流行るようになってから、「決済手段」ということにも世間の関心が集まるようになった。この決済手段ということについて、自分の場合で考えてみると、何かを買う場合にその決済手段がauWALLET中心に変わった…

増刷のタイミングを予測するには

以前から気になっていながら、結局読まないままでいた柳広司さんの『ジョーカー・ゲーム』がアニメ化され、アニメの方を見てみたら面白かったので、原作の文庫本を買った。アニメの放送に合わせて、アニメ版のキャラクターの絵が載った特別の表紙が期間限定…