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板チョコ

 布団で寝ていると、夜中にふと目が覚めた。窓から外の様子が見える。暗い空の中をヘリが一機、向こうから飛んでくるのが見えた。それは私の家の方へ近付く様に飛行していて、それでも目の悪い私はなかなか気が付かなかったが、そのヘリは普通のヘリではなく、自動車の天井にプロペラの付いたヘリだった。

 そのヘリは私の家の上空を通り過ぎた。と言っても真上には天井があるから通り過ぎるその瞬間は見えない。しかし通り過ぎた後で、先ほどとは違う窓から、今度は私の家から遠ざかる様にして飛び去っていくヘリを見付けると、それはもはや、「ヘリ」と呼べる様なものでなくなっていた。それはまるで、小さなブロックがいくつも縦横に連結した板チョコのように、いくつもの軽自動車ーそれはホルクスワーゲンのビートルのように思われたーが横に連結し、まるで重心を取ろうとしているかの様に、地上に対して85度ほどの傾きを保って空を飛んでいた。こんな状態で。

 

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 その縦に傾いた横一列のブロックをなす軽自動車の飛行物体は、間も無く奇異な動きを見せはじめた。その連結を保ったまま、空中でぐるぐると回転し、回転するにつれてその高度はどんどん下がっていき、また私の家の方へ近付く様に回転飛行をしている。

 

 このままでは地上に墜落してしまうと直感的に思った私は、息を飲んでその飛行物体の行く末を目で追い続けた。と同時に、私の傍で同じく布団で寝ていた母を起こそうと母の体を揺すった。母は目を覚まさない。慌てる私をよそに、それは地面に墜落し、けたたましい轟音とともに爆発するかと思われたが、そんな私の予想に反して、随分と控えめな、まるでプラスチックの模型が落ちたのと大差ないという程度の音だけを立てて、地に落ち、破砕した。いや、消滅した。その場所には、まるで飛行物体の形態と呼応するかの様に、数人の男たちの死体が、綺麗な横一列をなして並んでいた。どれも外国人であった。

 

 私は一人暮らしで、ベッドで寝ている。今朝方に見たこの夢を、私は一体どういう風に解釈すればいいのか。余りにも劇的であったために私の頭から離れることがないまま、私の脳裏に居座っている。