昨日見た夢について

昨日見た夢について、そこから派生的に考えたことも含めて書いてみようと思います。

 

「夢をどう分析するか」というのは、今の時点で自分の頭の中にあり、かつ思い出せるのはフロイトの『夢判断』(新潮文庫)に関するおぼろげな記憶と、大学のときに表象文化論の授業で少し扱われた、同書に関する授業中の先生の話(※注1)と、脳科学的に見た夢の意味・意義に関する断片的な知識が全てです。とりあえずこれらを考えるための材料として思考をスタートします。

 

「夢というのは日中或いはこれまでに経験したことに関する記憶を整理するという意味をもつ」というのを茂木さんか苫米地さんかのYouTubeの動画で見たように思います。

昨夜見た夢は一部は最近の経験に関するものでしたが、ずいぶん以前に経験したことや全く経験したことのないこと、少なくともこれまでに経験したこととどう関係するのか、考えてもすぐには納得のいく回答が思い浮かばないものもありました。

たとえばここ一年以上は実家には帰っていないし、また実家の各部屋の光景を思い浮かべたりしたことがないにも関わらず、昨夜の夢の主な舞台は実家でした。

 

そこでは知っている女性が1人、これまでに会ったこともない女性が1人、合わせて2人の女性が1人ずつ順番に登場しました。2人が同時にいることはなく、1人目がいなくなった後でもう一人がまるで代わりのように、或いは次の順番の人間であるかのように、登場しました。

1人目はかつて寝起きしていた部屋に登場し、自分と彼女は母の部屋ということになっている部屋に移動し、そこで2人目の女性に突然切り替わります。

 

ここで「母」などという言葉が出てくるとフロイトラカンなどの解釈が連想され、それらに簡単に埋もれそうになりますが、今回はそっちの方向には進まず、脳科学の方で考えてみようと思います。

 

1人目の女性はなぜか、僕が最近新宿の紀伊国屋書店で購入した『場合の数・確率の解法研究』という薄い黄色の表紙の、大きくて分厚い本を持っていました。僕は夢の中で、「へえ~、この人もこの本を持っているのか」という素朴な感想を抱いたことを覚えています。

なぜ女性が登場したのか、そしてなぜ自分が最近購入した本が登場したのか、「記憶」という言葉を中心に考えてみると、自分は近頃、大学院の入試のために場合の数や確率、厳密には漸化式の応用問題の対策をしていて、自分が解けない問題があることに少なからず焦りを覚えていました。その焦りは、体内のどのような生化学的な反応に対応させられるのか、パッと知識が出てきませんが、何かしらの反応には対応していることは言えるだろうと思います。それをここでは仮に「反応X(Reaction X)」と呼ぶことにします。

 

するとその反応Xは、「夢」という現象において、他の記憶を押しのけて想起されやすいような性質を備えていたということでしょうか。それとも夢において想起される記憶の内容はランダムで、今回はたまたま「女性」や「実家」、「場合の数・確率の解法研究」がピックアップされたに過ぎないのでしょうか。この「ランダム・ピックアップ説(Random Pickup Hypothesis)」とでも呼ぶべきものが妥当だとすると、夢の中に「ランダム性(randomness)」について扱う確率の本が登場したというのが面白い皮肉のような気もします。

 

夢の内容がどんなものになるのかは、「扁桃体」(英語名:Amygdala→扁桃体 - Wikipedia)が各記憶の重みづけに関わっていることを想起する(注2)と扁桃体のはたらきと密接なつながりがありそうだと推測されます。

 

扁桃体についてはこんなページも発見しました。

参考リンク:無題ドキュメント

 

もしそうなら、扁桃体がどのように機能するかについて十分な科学的理解が進めば、夢の内容というのはある程度本人の制御下に置くということも可能になるでしょうか。否、本人の意志をもってしても扁桃体を本人が制御するというのは不可能と考えるのが生物学的あるいは生化学的に考えると妥当ということになるでしょうか。もし夢が記憶の整理作業に相当し、かつそれが本人の制御下に置くことが可能であるとしたら、記憶として定着させたい事柄を優先的に夢に登場させる、というところまで行けるでしょうか。

 

残念ながら今の自分が思い出せる範囲の知識でこれらの仮説的な発想に対する回答を引っ張り出すことはできないので、これら一連の内容は脳内の「暫定的な仮説(Temporal Hypothesis)」のフォルダに保存します。

 

 

※注1(この部分は思い出したことがどれくらい正しかったか(事実だったか)という確認に関する部分で、自分の「脳内のひとりごと」という感じです。あらかじめご了承ください。笑)

【Before checking the detail (Memory)】 

夢に登場する事柄は、必ずしも自分の経験したありのままとは限らず、加工されたものであることがある。確かフロイトの『夢判断』においては第6章で「二次創作」という言葉で説明されていたと記憶している。そこではフロイト自身が見た夢が例として登場し、植物学(の本)の話があった。

【After checking the detail (Fact)】

第6章→正解!ここに第六章について書いた記事がある(die_traumdeutung_6

二次創作→「第二次加工」と呼ばれているらしい。これは訳語の問題でもあるので、思い出す内容が合っていたかどうかという意味では「二次創作」という単語でも及第点と言えるかもしれない。(参考論文→http://ir.lib.fukushima-u.ac.jp/dspace/bitstream/10270/3678/1/19-137.pdf

植物学(の本)→フロイト自身が「植物学研究所の夢」と呼んでいるもの(これについて調べていて発見した、コナン・ドイルフロイトについて扱った興味深い記事→

2013年11月 : ロワジール館別館

 

注2 これについては海外ドラマ『アンフォゲッタブル』について苫米地さんが語ったいた動画の中でも言及がある→


[アンフォゲッタブル]認知科学者苫米地英人が超記憶症候群について語る - YouTube

 

扁桃体に関して、その他の興味深いページの参考リンク

Neurogenesis 脳と心のお話(第四話)「恐怖する脳、感動する脳」