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オレンジとリンゴ

   人の好みはそれぞれ。
蓼食う虫も好き好き。
There's no accounting for tastes.

一個のオレンジが、それ自体としてどれほど優れていたとしても、それはあくまでオレンジであってリンゴではない。

たとえばそれがとても洗練されたオレンジであったり、
崇高なオレンジであったり、
センスのいいオレンジであったり、
見た目はともかく味は素晴らしいオレンジであったりしたとしても、
オレンジはあくまでオレンジであって他の何物でもない。

それがオレンジについての恒等式。オレンジのアイデンティティ

オレンジがアイデンティティを破ってリンゴになるということはできない。

そういうことをちゃんと自分の人生に関わる重要なこととして飲み込めるようになるまでに、思いのほか時間がかかったなぁと思う。

或いは本当はまだ飲み込み切れていないのかもしれない。自分は今も、自分についての恒等式を忘れてしまっているかもしれない。

自分がどんな人間かわからなければわからないほど、自分でないものになろうとしてしまう。

自分がどんな人間か、それが細かいところまできちんとわかっていれば、自分がどんな恒等式を抱えたオレンジなのかがわかる。つまり、リンゴではないと。

村上春樹の『女のいない男たち』を読んだせいか、なんだか村上春樹的な雰囲気の文章になってしまった。笑

女のいない男たち

女のいない男たち