26歳

クラウド上の記憶と人間の記憶

「記憶」(memory)ということについて、EvernoteやDropboxなどのクラウド上にデータを保存するサービスを使っていてたまに考えることがある。 EvernoteやDropboxなどのサービスを使ってクラウドに保存したものは、保存した人間自身も自分の頭の中に記憶して…

アカウントと自分

アカウントにログインするとき、私はアイデンティティを自覚させられる。つまり私は他ならぬ私自身なのだということを突きつけられる。メールアドレスやアカウント名(ユーザー名)とパスワードを打ち込み、自分のアカウントにログインすると、そこには自分…

オリジナリティとはなんだろう

塾で高校生に英語の授業をしていた時、いつもの調子で何気なく生徒が言った「うまく言えないんだけど〜」という表現について、ふと考えていた。 言葉というのは、「空気を読む」や「やばい」など、特定の言葉をみんなが使うようにしておくことで、話し手と聞…

あえてシンプルに、文章だけを書くこと

「ブログ」というと、リンクを貼ったり図を入れたり、ツイートを埋め込んだりと、いろいろな「付け足し」をしながら書いていくものとされているところがある。そういうものが「リッチなコンテンツ」などと呼ばれ、持て囃されたりもする。少なくともPVの数を…

ロードバイクを買って思ったこと

ロードバイクを購入した。以前はネットで30000円クラスのものに乗っていたが、パーツ交換などでやたらお金がかかることもあって、ある程度値段のするちゃんとしたロードバイクを実店舗で買おうと考えた。 自分がここへきて突然のようにロードバイクの購入を…

私たちが対話の相手ではなく画面を見つめるようになって何が変わったか

高校生の現代文で出てくる評論の文章からは学べることがかなりあるのでたまに読み返してみたりする。昨日も若林幹夫「メディアと市民的公共性」という文章を読んだのだが、メディアと人間の関係について改めて考えさせられるいいきっかけになった。こういう…

漫画のワンシーンから考える人間とテクノロジーの関係

自宅の近くに餃子とラーメンが食べられる(定食もある)店がある。さっき久しぶりにその店で食べてきた。 注文した札幌ラーメン(味噌)とチャーハンを待っている間、店の入り口に並べられた漫画の中から面白そうなものを探していると、以前から書店で見知っ…

「人間は変わらないさ」とアルゴリズムは考える

Feedlyで購読しているTechCrunchのサイトで「Past Behavior Does Not Determine Future Purchase」というタイトルの記事を見つけた。*1 タイトルを意訳風に訳すと「ネット上での過去の行動によって、これから買うものは決まったりしないよ」というところ。最…

キャベツを食べていて思ったこと

冷蔵庫の中のキャベツがそろそろ食べないと危なそうだな〜という感じだったので、半分は玉ねぎと一緒に野菜炒めに、残りはドレッシングをかけて食べた。なんともお粗末な料理だけれども、美味しかった。 キャベツを食べていて「とてもおいしいなあ」と思いな…

タグをもとに検索しても新しいものに出会えないのはなぜか

よくツイッターなどでハッシュタグ(#)のついたツイートを検索したりする。そこで新しいものが見つかるかもしれないと思って、いろいろなユーザーのツイートを見るのだが、基本的には新しいものに出会えることはない。それはどうしてか考えていて、さっき…

興味がないものは、視界に入っていてもちゃんと見えてはいない

先日アルバイト先の塾でこんなことがあった。いつもの様に高校生の授業をしていたら、担当している生徒が「高校の英語の先生が面白くて、宮崎駿に似ている」という話をし始めた。写真があるというので見せてもらったら、髭をたくわえたおじさんではあるもの…

素直になるのが、たぶん一番難しい

脳科学者の中野信子さんのブログ記事を見ていて、「ああそうか、『ブログ』って本来はウェブ上のログのことだから、変にがんばらずに気軽にログを取っていけばいいのか」と思い、今回はいつもより気楽な感じで記事を書いている。ちなみにそのブログ記事はこ…

言葉の問題、検索の問題

昨日、母とメールで「格差」についてのやりとりをした。私は最近読んでいるモイセス・ナイム『権力の終焉』の内容などを引き合いに出しながら、こんな風に書いた。 「世間ではトマ・ピケティの書いた『21世紀の資本』などを中心に、格差、格差と言っているが…

ドラマ「いつかティファニーで朝食を」の第一話を見て

10月10日から日本テレビで始まったドラマ、「いつかティファニーで朝食を」の第一話をHuluで見た。あるシーンを見て吐き気がするほど気持ち悪いと感覚を抱き、一度見るのをやめてしまったのだが、「そんな風に何かを途中で投げ出したり切り捨てたりするのが…

Appendix Link:『ビッグデータの正体』第2章 第1の変化「すべてのデータを扱う」

第2章 第1の変化「すべてのデータを扱う」 1. ジェフ・ジョナスの「データに語らせる」見解に関する2010年12月パリでのジェフ・ジョナスとの対話について:リンクなし 2. 米国の国政調査の歴史 U.S. Census Bureau, "The Hollerith Machine" Online histor…

Appendix Link:『ビッグデータの正体』第1章 世界を変えるビッグデータ

第1章 世界を変えるビッグデータ 1. インフルエンザの流行に関する論文 Jeremy Ginsburg et al., "Detecting Influenza Epidemics Using Search Engine Query Data" Nature 457 (2009), pp.1012-14 2. ジョンズホプキンス大学研究チームによるGoogle Influ T…

紙の本の中で紹介されている論文や記事、サイトのリンク集を作ってみる。

いつもどおりバイト先から帰っている途中、電車の中で『ビッグデータの正体』の第5章を読んでいたら、その中でScience誌の論文が紹介されている箇所があった。そこで、より詳しい情報を確認しようと思い、巻末の注を見ていたらふと思った。 どうして紙の本の…

言葉にこだわることは、ロジックにこだわること

先日こんな記事を読んだ。 diamond.jp 記事の中で述べられていることだが、マッキンゼーの人たちはプレゼンをするとき、難解な専門用語はほとんど使わず、あくまで日常の言葉でプレゼンするらしい。下手に「ファネル」だの「マトリクス」だのと「それらしい…

ソーシャル物理学と自然言語処理の立場の違い

少し前の記事に書いたように、最近は自分の関心がコンピュータ科学の領域に絞られてきた。 plousia-philodoxee.hatenablog.com そこで人工知能に関する書籍のうち、いわゆる「人工知能は人類を滅ぼす」というような思想方面の書籍は避け、機械学習やディープ…

何を自動化し、何を自動化しないか

普段ニュースといったらSmartnewsとNewsifyというアプリの2つを中心に使っている。ちなみにテレビは見ない。そのNewsifyで読んでいた記事の中に、「Newsphere」という見慣れないニュースサイト(記事は日本語)があった。 newsphere.jp そのサイトをMacBook…

「人工知能が人類を滅ぼす」論に潜む暗黙の前提についての違和感

【字数:2602字 目安:6分】 「ディープラーニング」(深層学習)を中心とした人工知能に関する議論が最近国内でも流行っている。雑誌や週刊誌でも特集が組まれることが多いし、だいたいそこでは松尾豊さんとか小林雅一さんあたりを中心に記事が載っている。…

検索エンジンと人間の関係について考える

【目安時間:10分】 関心の変化 検索エンジンの役割について再考する あえて情報を引き出す手間をかけることの意義 人工知能と検索エンジンの関係という問題 関心の変化 久々にブログを更新する。前回の記事は大学院の院試の直前で、まだそれに向けてルベー…

また明日からルベーグ積分の勉強がんばろう。

2ヶ月以上も更新していなかった。今年は割とちゃんと記事を書き続けてきたものの、最近になって急に記事を書く気がなくなってしまっていた。いろいろと悩んだりすることもあり、精神的に停滞しきっていた。 それでもひょんなことがきっかけであっさり元通り…

「機械的なものvs人間的なもの」の胡散臭さについて

人間と機械 ある通念とそれに対する懐疑 最も機械らしい存在としての人間 部品の数 集合で考える (中国の食品工場の生産ラインの一部。出典:中国北京の食品工業:燕京ビール公司・三元食品公司;鳥飼行博研究室) 人間と機械 ある通念とそれに対する懐疑 人…

記憶と記録の違い

人はネットでバカになっているのか 引き出す場所と考える場所 内部記憶の場合 外部記憶の場合 もっと包括的な情報技術について (出典:Computer Memory Chips Free Stock Photo - Public Domain Pictures) コンピューターの普及が記憶の外部化を可能にした…

集団内の情報伝達コストの効率化について

【4488字 目安:10分】 今週号のジャンプのこち亀が面白い。何が面白いかというと、「集団における情報処理」の興味深いパターンがそこに登場するからである。どういうことか。 作品の中で、両さんが祭りの運営に関する詳しい知識を元に、迷子になった子供の…

どの範囲から何を引き出すか

自分の頭とシステム上の記録 時間 検索エンジンの基本を振り返る 結局どれが一番効率的か 自分の頭とシステム上の記録 「どの範囲から何を引き出すか」というのはけっこう難しい問題で、自分自身はどうかということを振り返っていくつかに分類してみると、次…

人とコンテンツの関係について

【1927字 目安:4分】 書店の本というのは、トピックやテーマ、概念、キーワードなど、つまり「何が書かれているか」ではなく、著者、つまり「誰が書いたか」を基準に並べられていることが多い。人文思想の「人格化」という言葉をとある動画で聞いて「確かに…

幽霊論

【字数:950字 目安時間:2分】 (出典:【画像も】怖いくらいに美しい松井冬子の作品の値段などを大発見! | まとめアットウィキ - スマートフォン いずれも東京芸大出身の画家、松井冬子さんによる作品。不気味なものがまさにその不気味さを前面に出し、そ…

設計するということ

トヨタのTNGAとTCP/IPの共通点 生物における階層化 モジュール化について トヨタのTNGAとTCP/IPの共通点 2015年5月2・9日合併号の週刊東洋経済のトヨタ特集を読んでいる。トヨタの自動車設計についての新しい構想「TNGA」(「トヨタ・ニュー・グローバル・ア…